お客様の声 ハロー斉吉セット

2008.07.01

かつおの星

美味しいかつおの季節です。この地方で「星」というのは魚の心臓のことです。もうかの星というのもあって最近は観光のお客様にも、なかなか有名ですが、もちろん もうか鮫の心臓のことです。
かつおは気仙沼が日本一の水揚げを誇りますが、江戸時代後期から紀州 和歌山からの技術がこの地方に浸透しかつお漁は興隆期に向かいます。気仙沼市史によると明治20年ごろ気仙沼港には百隻の鰹船団があり推定で年間50万尾を水揚げしていたといわれています。
冷蔵庫と冷蔵輸送が当たり前の今はなんと言っても刺身で食べるのが主流ですが、当時はほとんどを鰹節に加工しました。江戸末期文政5年の(諸国鰹節番附表)では品質評価で全国最下位の三陸鰹節でした。三陸沖の冷水塊に乗ると脂をましてそれを除くためのカビ付けがうまくいかなかったとのことです。(今は脂ののっていることが喜ばれますが、昔は逆です)その後高知や伊豆から技術者を呼び 研究 改良を重ねていきました。昭和のはじめには鰹節の生産で全国トップとなり 昭和40年代ごろまで市内には本当にたくさんの鰹節加工場がありました。
小さいころ近所のやっちゃんと毎日一緒に遊びました、やっちゃんの家は鰹節加工場です。なんともいえない豊かな燻煙のにおいが家中にあふれていました。
家の中に加工場がありました。何人もの人がかつおを包丁でおろし、その後かごに入れ重ねて釜で煮ます。冷ましたあとセイロにならべて焙乾します。「ひやまかけ」といっていました。屋根いっぱいに鰹節を干しました。
かつおをおろすときに星を取り出します、たくさんのかつおから出る星や はらす、骨までも みんなのおかずになりました。味噌煮にしたり、塩焼きだったり、かつおのあら汁にも入ります。かつおの骨煮というのもありました。私たちが子供のころの食卓は、子供が好きか嫌いなどほとんど気にせずに、地元の滋味が余さず丁寧に出されていたと、つくづく思い出されます。

               

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