2011.06.01
よがす
地元の言葉は 力強い 上っ面でなく 心底「しゃべった」と感じる。
津波の日以来夢中で過ごした。 2か月以上たって 山の緑が美しい季節になり、晴れた日に遠くを見ていると ふと 何事も起こっていないかの様な錯覚を覚え 一瞬涙が出そうになることもある。
でも 全体として気仙沼人は 誇らしいほど元気な顔をしている。
大きな家で暮らしてきたのに 生まれて初めてアパートに住む という たくさんの 老夫婦 部屋がひとつしかないから 掃除するのにもお爺さんが邪魔 散歩に行ってもらうけど 足が丈夫だから すぐ帰ってくるし 耳が遠いから 声大きくて 隣に迷惑だし、 たいてい お爺さんは お婆さんに おこられて毎日過ごす。
怒られても行くところもない アイマスクをして寝たふり 聞こえないふりをする。
喧嘩しながら お互い笑っている。
長い間 海で狭い船の上で暮らした人たちは おらぁ、もっと狭い布団で寝てきたんだから だいじょうぶだ、 それに温かいご飯食せられで、ホテルさ泊まったみでぇだ。と半分以上強がりかもしれないけど 周囲に 不満を言わない 空気をまいてくれる
巨大な サルベージ船が来た 。震災直後に自衛隊が来た時と同じような 頼もしい姿だ 400トンの大型マグロ船をクレーンで陸から吊り上げ 海に戻す 3000トンまで吊り上げる事が出来るそうだ。
様々な工夫を持った方が応援に来てくださり、 震災前までは 全く考えなかったような世界が広がろうとしている
何もなくても堂々と生きよ! 無一物中無尽蔵 と
禅寺の和尚さんに教えていただいた。
この震災に 出会ったことを 「よがす」
と全身で受け取る ことができますように。