2021.04.20
自然と一緒に続けられる「うに漁」
洋野町だけの仕組み
日本沿岸のいろいろな海でうにが獲れますが、ここ洋野町(旧岩手県種市)の自然の循環に合わせ、自然に負荷をかけないうに漁をする仕組みは他に比べるものがないと思います。
去年の5月にもご案内していますが、
北三陸のうに(2020.05.11)
今年も初出荷が始まる前に洋野町のひろの屋さんへ伺いました。
ひろの屋さんは工場も新しくされ、益々充実のお仕事ぶりに、お会いする度にこちらもがんばらねーばと思います。
新しくなった事務所で、改めて洋野町のうに漁の仕組みを伺います。
遠浅の岩盤に掘られた溝の中
身入りも上々のはしりの生うにもむきたてで味見をさせていただきました。
潮が引いた海岸の写真が写っています。岩盤の海岸に櫛状に溝が掘ってあります。ここが4年目のうにが入っている溝です。遠浅の岩盤を50年前当時の漁協の組合長の決断で櫛状に溝を掘ったのだそうです。そもそも遠浅の岩盤は海藻も短くその先の深くなるところまでいかないと漁もできず、困った最悪の場所だったのだそうです。
現在は250万個の稚うにを陸上のいけすに沖の海水を引き込んだ場所で育て、
その後海に放します。
溝は188本 13kに渡っています。
3年目のうにを南部ダイバーの漁師さんが潜水して漁獲したものを
掘った溝に入れ4年目を過ごします。
引き潮の時はこのように歩いて岩盤の漁場に行くことができます。※すべて許可をいただいて漁場に入らせていただいています。
溝は外洋からの海水が循環して流れるように設計されています。
豊富な海藻
この溝のさらなる特徴は昆布やわかめをはじめとした海藻が、つまり自然のうにの食べ物が沖から切れたものが流されてきては溜り、また岩場には自然に繁茂しています。
溝の向こう側がぐっと深くなって太平洋です。
遠くで漁師さんが仕事をしています。引き潮の時の景色です。満潮になるとこの溝も橋もすべて海に沈み景色は一変するのです。
四年うに
うには4年目を過ごしつつ溝から漁獲されます。
毎年この循環が繰り返されるのです。うには七年も八年も生きますが四年めの一番美味しいうにだけを味わえる、しかもずっと続くありがたい仕組みです。
今年は雪が多くて3月の昆布の胞子が出て芽が出る5度~6度のタイミングでうには動かず、昆布の成長が良く芽が伸びたタイミングでうにが動き始まったそうです。
身入りの良いうにが獲れるとみんな喜んでいらっしゃいました。例年にも増して楽しみです。世界に誇る北三陸のうにです。