2021.12.02
2021年12月|たべもの
山形の米沢で雪割納豆という、納豆というよりは味噌のような味に出会いました。
納豆という発酵食品に、さらに米麹と塩を入れて発酵させて作るそうで、旨味いっぱいで驚きました。
山形の置賜地方に伝わる農家の保存食「五斗納豆」がもとになっていて
当時は冬にこたつの温かさの中で大豆から納豆を作り、さらに米麹と塩を合わせて春まで熟成させてご飯のおかずにしたとのこと、
納豆にしないだけで、仙台味噌もそのまま生で食べても美味しいといわれ、材料も作り方もどこか似ています。
発酵は温度差によって旨味が増えるそうで、味噌も夏を越さないと美味しくならないと聞きます。
三年味噌というのは、今では三年の時間をかけて熟成させた、より旨味の多い味噌を言いますが
昔は三年分の味噌の備蓄が飢饉のときに、いのちをつなぐたべものだったからだと聞きました。
五斗納豆も、たべものをひと粒も無駄にしない、祈るような人の暮らしが育てたものだと思いました。
岩手の西和賀でも秋に収穫した大根を薄い塩だけで雪のなかで漬けておく、
雪に閉ざされる中で、野菜を食べる先人の知恵に出会いました。
土地の乳酸菌が発酵を促して旨味となり、パリパリの生のような食感です。
地味だけれど、しみじみ味わい深いものです。
もっと美味しいものを、と日々そのことに向きあっていますが、
美味しいとは何かと自分たちに問い直すような思いです。
もともとを見直すと、たべものはいのちをつなぐもの、自然と産物への感謝と
残さずに大切に味わって食べきることを、改めて考えています。