2022.02.18
「夏田冬蔵」の蔵・浅舞酒造さんへ
浅舞酒造さんへ
2月中旬。秋田県横手市に伺ってきました。
「夏田冬蔵」を醸す・浅舞酒造さんへ伺うためです。
1917年(大正6年)創業。
秋田県南部・横手盆地の丁度まん中にあり、
昔から豊富な湧水と良質なお米がとれる大変豊かな土地です。
伺った日は、晴れていたこともあり
先月末に秋田へ来た時よりも、いくらか暖かく感じます。
横手市は「かまくらの街」
横手駅前に到着すると、大小様々なかまくらがお出迎えしてくれました。
浅舞酒造さんの酒造り
浅舞酒造・社長さんの柿﨑さん(左)です。
「半径五キロの酒つくり」という言葉を掲げ、
お酒造りのお米は仕入れて使う酒蔵さんが一般的な中、
お米作りからされている酒蔵さんです。
酒米を育てる川の水の一部は地にもぐり、伏流水となって蔵で湧水となります。
夏に酒米を作る水で、今度は冬にお酒を仕込みます。
浅舞酒造さん・敷地内の湧水です。
酒蔵の中も見せて下さいました。
全量「古式槽しぼり」で酒を搾ります。
もろみを入れた酒袋を何層にも重ね押し蓋をして、上から圧を掛けて搾ります。
「袋折り」とも言われるこの作業は、一番底の深い部分まで酒袋を重ねていく
正に骨を折る作業だそう。
時間もかかりますが、その分ゆっくりじっくり搾られます。
少量ずつ、搾られたお酒が出てきます。
この日搾っていたのは、「夏の天の戸 Land of Water 純米吟醸生酒」
搾りたてを試飲させてもらいました。
古式槽搾りは元来わずかなにごりを含むそうです。
湧き水の透明感を強くイメージさせつつも、お米の香りがきりっと立つ
そんな印象を持ちました。
「ふつふつ、ぷつぷち」音を立てながら発酵する過程を拝見すると
お酒は生き物だと、改めて感じる瞬間でもあります。
季節と共にあるお酒造り
帰りの電車からの一枚です。
真白な雪と太陽が反射し合って、眩しいほどです。
太陽をものすごく近くに感じて、何だかとても神聖な気持ちになりました。
太陽や光を象徴する、天照大神の逸話で知られる「天の岩戸」
浅舞酒造さんの創業者である柿﨑宗光さんが
「天の戸は静かに明けて神路山 杉の青葉に日影さすみゆ」という古歌から、
酒名を〈天の戸〉とした事が始まりです。
酒蔵の入り口にもその絵が飾られ、創業者の方の想いが、今に大切に繋がれています。
帰りの電車で、この景色に出会い、その事を改めて思い出しました。
厳しい寒さの中でも、確実に少しずつ春が近づいていて
本来、季節と共にお酒は造られてきたこと。
その原点を見せて頂きました。
奥羽山脈から発する皆瀬・成瀬の川は酒米の育つ田んぼを潤し
酒米を育てた水が、冬に湧水となり仕込み水としてお酒を育てます。
豊かな循環が大切に守られながら、繰り返されています。