2022.06.28
2022年7月|夢に出た料理
暮坪(くれつぼ)かぶのことを調べたくて、うろうろしていたら
20年前の恩師の記事にたどり着いた。
途絶えそうになった暮坪かぶの産地を守るために奔走された生産者さんを訪ね、
そのご苦労に感動された様子が書かれていました。
恩師は長くホテルの総料理長をされていました。 ご専門は和食。
私は料理長の瑞々しい料理に心底憧れていました。
30年くらい前、ホテルのバンケットは日に何組も数百人の結婚式やパーティーです。
手間をかけ作りたてのお料理を出すことを日夜考え、試作をされていて、
料理長が厨房から離れるわずかな時間には、様々な人が料理長室の前に列を作っていました。
ずっと考えていると夢に出てくることがあると言い、そのような没頭ぶりから生まれるお料理です。
何年かして私たちは、お料理の手伝いをさせていただくことになりました。
ホテルの厨房だけでは間に合わず、私たちのところで下ごしらえをするのです。
初めの頃は、望まれるレベルに達せず何度もやり直しましたし、
時には厨房に入れてもらい、技術を教えていただきました。
求められるクオリティはたいへん厳しいものでしたが、
まず、いちばん美味しいと思うものを集中してつくること、
私たちは当時、技術も材料も考え方も本当に多くのことを学び、
間違いなく今の仕事を支えていただいていると思っています。
引退されたこの頃は、かつおが揚がったのでお送りしましょうかと連絡をすると
包丁をといで、ビールを冷やして待っているよと嬉しい返事がきます。
ずっと感謝しています。