2020.05.11
北三陸のうに
「岩手県の種市のうにが美味しい」は小さいころから、そう思っていました。
種市のひろの屋さんへ行った時の画像があるはずと
思い出して開いたら、伺ったのは2015年のことでした。
それ以来、毎年6月に日本橋三越さんで、洋野町種市の生うにをイートインでお客様に召し上がっていただきました。
毎年大勢のお客様にとても喜んでいただきました。
会期中何度もおいでになるお客様や「うにってこんなに美味しいものなのか」、「幸せだ」などの直接お声をいただき、お出しする私たちこそ幸せなイートイン催事でした。
今年は残念ですがイートインができません。
2015年
株式会社ひろの屋の下苧坪(したうつぼ)社長と知り合って
なんで種市のうにの味が違うのか知りたくて、岩手県の種市へ行きました。
それにあのころ NHKの朝ドラ「あまちゃん」の大大大ファンのうちの社長があのロケ地さも行くべっていう御用もありました。
(写真左)下苧坪社長です。かっこいいです。
そもそも種市のうには育ちかた収穫時期が全く私たちの地元とは違いました。
同じ三陸でも沢山の小さい入り江のつながったリアス式海岸の気仙沼付近と違って種市の海岸は遠浅の岩場と言ったらわかりやすいでしょうか
昆布がびっしりついています。昭和50年以降当時の漁協の組合長さんの発案で
この岩礁に櫛状の増殖溝を掘ったのです。すごい英断ですね。
小さいうにの赤ちゃんは
このように陸上のいけすで育ちます
1年ほどして
海に放されます。
2年ほど海で育った後
ダイバーさん 、それこそあの南部ダイバーさんの手で増殖溝に移されます
4年目は増殖溝でたっぷりの自然の昆布を食べてうには育つのです。
干潮の時間はこんな風に歩いてうにがとれるそうです
つまり
洋野町種市のうには みんなほぼ4年目のうになのです
これは、ほんとうに大きな違いです
他の地域のうには、海から直接漁獲しますので、3年目のうにもいるし 7年とかたったうにも混ざっているのです。
色も7年ものとかになると黒っぽくなったりうにのひとつひとつがやせてきたりします。
洋野町は毎年これを順繰りに繰り返すので、持続して4年目のうにだけをとります。
なぜ4年なのか改めて下苧坪社長のお話です。
”うには年をとればとるほど、実が黒くなり品質が下がります。要は、美味しくなくなります。
旬の4年から5年のあたりに取り切るというのが、非常に大切なのです。
持続可能性と4年5年というのはそういう意味でも、理にかなっています。
また、4、5年のサイクルで採り尽くさないと、海藻が年老いたうにによって食べつくされてしまい、磯焼けの原因につながります。”
まさに持続可能です。
話をきいて現場をみせていただき感激しました。
なんて嬉しい、大切な仕組みを作られているんだろうか。
海は大自然のものだけれど、こうして自然を壊さず、うにをいただく仕組みを知ると
ますます、うれしい美味しさだと思いました。
5月 洋野町のうには新物です。ヌーヴォーです。
ここから本格的旬に向かいますが
とれたて初物をいただくのは、また別のおいしさと跳ねたくなるような嬉しさです。