2022.01.05
西和賀産業公社さん「大根の一本漬け」
西和賀町は岩手県と秋田県の間、奥羽山脈のふもとにあります。
冬になると大雪に閉ざされる冬の西和賀では、秋に収穫した大根を
少しの塩だけで漬けて雪のなかで保存し、生野菜の代わりに食べたものだそうです。
【やわらかな土壌で育つ大根】
11月秋晴れの中、大根の畑にお邪魔してきました。
西和賀産業公社の相沢さんと広瀬さんです。
ちょうど、収穫をされているところです。
ずっと向こう側まで、鮮やかな緑でつやつやとした大根の葉が、わさわさと見えます。
山の落葉樹が推積して腐葉土になり、真っ黒で、ふかふかとした柔らかい土です。
みなさん気持ちよいテンポで、すぽんっと抜いていきます。大根が抜けた後の畑の土です。
こんなにくっきりと大根の抜け跡ができるほど、やわらかな土で育ちます。
一本漬けになる大根は、皮に傷が少ない状態のものです。肌がつやつやと綺麗。
【一本漬けの工場へお邪魔してきました】
畑で獲れたての大根は、自社の漬物工場に。
一本漬けは毎年11月から1月まで、冬季だけの仕込みです。
昔は各家々で、野菜の葉等由来の乳酸菌が、保存しているうちに自然に美味しさになっていたのだそうです。
今は県の工業技術センターと共同開発し、地元西和賀の自然からとった
乳酸菌「西和賀ラカル」を使用します。
今回特別に、伝統的な漬け方である「塩と乳酸菌のみ」で
斉吉のために一樽分漬けて頂きました。
一本一本、手作業できれいに洗われ
軽量・選別された後
手作業で大根に塩をぬり
350㎏の重さの漬物石で漬けられます
漬け石ひとつひとつ計量されており、この青い台1台ごとに350㎏で計量されています。
約40日間漬けます
樽の底に塩分が溜る為、樽を台車に乗せて手で揺らしたり、
トラックに乗せて移動させることで、あえて揺らす作業があり、
そうすることで樽の中の空気を抜き、かつ、味が均一になります。
斉吉用に漬けて頂いている一樽に、
「おいしくなってね」「気仙沼でまってるよ」と、声かけしてきました。
【西和賀町のみなさん】
長く厳しい寒さに備えて、
秋の収穫時期から「家の中でのたのしみ」を準備して来られた文化があります。
西和賀町に何度か伺うたびに、
出会った方々みなさんが地元を愛している事が伝わってきました。
土地の自然や食材と向き合い、そして大切に守りながら
こころ豊かに暮らすこと を教えて頂いた気がします。