2022.02.09
秋田県湯沢・三関せりの奥山さん
1月末。雪降る秋田県湯沢市に行ってまいりました。
今回湯沢に伺ったのは、
三関(みつせき)せり農家さんである奥山さんにお会いするためです。
車と新幹線と電車を乗り継いで、ようやく最寄りの上湯沢駅に到着です。
さらに、雪は深い。この、大粒の雪がゆっくり降っています。
ひんやり、しっとりした空気で包まれます。
「気仙沼も、結構雪はふるでしょう?」とよく聞かれるのですが
降るには降るのですが、沿岸のため積もることはほとんど無いです。
なので、こんなにも盛大に積もっていると
「違う土地に来た」ことを実感して少しわくわくします。
奥山さんのせりのハウスに到着です。
向こう側に見えるハウスも、全て奥山さんの三関せりハウスです。
せり農家さんの、㈱CRAS代表である奥山さんです。
お話を伺いました。
取材に伺った頃がちょうど葉の生え変わりの時期で、
「新葉(しんぱ)」と呼ばれる柔らかくおいしい葉が出る時期だそう。
今はハウス栽培をされていますが昔は露地栽培だったそう。
冬の間降り積もる雪で、せりがつぶれてしまうこともあった為、
今はハウスで安定した栽培に成功されています。
収穫中のハウスを見せて頂くと、こんな感じになっています。
土の上になっているのかと思っていたので、水が張られていることに驚きました。
田んぼの様に、土を耕した所へ、昨シーズン採れたセリを1本ずつ植えて、
根っこがついてきたら徐々に水を入れて行くのだそう。
畑に流れるのは、東鳥海山(ひがしちょうかいさん)から流れる伏流水と、湧き水。
「三関せり」は、種苗を買う他の野菜に対して、前年の苗を植えて育てる在来種。
江戸時代から、種が代々受け継がれ、その姿を変えずに繋がっている貴重な伝統野菜です。
一番の特徴は、白く、長い根にあります。
厳しい寒さの中育つ三関せりは、成長には時間がかかりますが、
そのぶん地中深くまで根を伸ばしてくれるのだそうです。
その特徴である根っこを傷めないよう、
機械を使わずにひとつひとつ、手で収穫されています。
洗浄も、豊富な湧き水できれいに手洗いします。
この厳しい寒さのなか、自分自身の力でたくましく根を張る。
だからこそ、「ぱりぱり」というより、もっともっと力強い。
噛むたびに、せりの独特の香りとともに「ばり。ばり。」という音がします。
野菜はいきもの。
寒さの中でたくましく育ったエネルギーを頂いているんだ、
と改めて有難く感じさせてくれるような三関せりです。
江戸時代からの形を代々受け継がれ、貴重な伝統野菜として繋げてくださる皆さん。
つい、店頭に並ぶ野菜を見慣れる私たちは、それが当たり前かの様に感じてしまうのですが
腰をかがめ、真っすぐにせりに向き合い、大切に繋げて下さるからこそ頂けるものです。