お客様の声 ハロー斉吉セット

2022.04.14

「良いワインは良い葡萄から」土壌づくりから始まったワイン

剪定鋏と長靴

 

「社長は、まもなく畑から戻ります。」

初めてお目にかかったタケダワイナリー当代(5代目)岸平典子社長は

長靴を履いて、腰に道具の入った革のベルトをしていました。

(余談ですが 私は働く方の長靴が大好きです)

 

伺ったのは、4月はじめ。

畑に雪がなくなる頃、

土のなかで休まず準備を怠らない葡萄の木たちが、一斉に芽吹くのに合わせて

畑の作業が始まるのだそうです。

振り返って見る葡萄畑では、何人もの方が作業をしていました。

 

腰の革ベルトに下げてあるのは、剪定ハサミです。

仕事に就くときに、先代の社長さんが買ってくださったもので

古く、歴史ある山形打刃物。

先代の社長さんの教えで、毎日仕事終わりには欠かさず砥いで手入れをし

もう30年以上になるのだそうです。

タケダワイナリーさんでは

「良いワインは良い葡萄から」をモットーに、ひいては土づくりから始めた

葡萄づくり ワイン造りを続けておられます。

頂いた岸平社長の名刺には代表取締役社長・栽培醸造責任者とありました。

 

1920年から

100年以上も前から、自社農園と山形県産葡萄だけでワイン造りを続けてこられた

タケダワイナリーさんのWEBページに、歴史がのっています。

タケダワイナリー (takeda-wine.co.jp)

ぜひ、ご覧いただきたいです。

「いくら悲しんでもぶどうは毎年確実に実をつけます」という一文が頭から離れず、

それぞれの代が積み重ねてこられた仕事そのものに励まされて進んでこられたのだろうかと察せられ

ぜひ伺ってみたいと思いました。

 

蔵王連峰のふもとは火山灰土壌の斜面で、米作に向かない土地です。

蔵王山麓の水は温泉の硫黄を含むからではないかとも聞きました。

ですが

寒暖差が大きく、日当たりよく 水はけが良いという特徴を生かし

上山市の初代市長は果樹栽培を推奨したのだそうです。

武田家の4代目の重信氏が

土地に吹く風、日照 降雪や気温などの条件は自分たちでは変えられないが

変えられるとすれば土だと、

ヨーロッパ系のワイン専用品種の栽培に成功するまで

20年もの歳月をかけて土壌改良に取り組まれたお話をお聞きしました

さらに苗木を植えてからワインになるまで5年かかるそうです。

かけがえのない時間が重なる仕事への敬意でいっぱいの気持ちになりました。

 

 

蔵王スターブランドを廃する

タケダワイナリーさんへ伺うと、入ってすぐ、そして店舗にも

「蔵王スターワイン」の大きな看板があります。

長年の大看板であった蔵王スターのブランドを廃することを

岸平社長が決められたことも、お聞きしました。

 

輸入果汁を、国内で醸造してワインにしても

国産ワインと表記することが可能だった時代がありました。

その後、ぶどうの収穫地と醸造地が同一でなければ

その産地名は名乗れない、という表示規定となりました。

タケダワイナリーのワインになるぶどう畑の一部が天童市にもあり

現在の行政区画上、天童市は蔵王山麓からは外れているという見方もあるそうです。

タケダワイナリーさんでは、

新しい表示規定は「将来の日本ワインにとって大切な方向に進む変革だ」と

その趣旨を尊重するため、自ら、蔵王スターの終売を決断されたそうです。

 

岸平社長さんは 小柄で

優しく、静かな口調で話されますが

長い時間がかかる商品を

代々繋げて、世に出されているからなのでしょうか。

将来を見る、考えの基が大きいことが伝わりました。

 

100年先を考えているか

 

伺って以来

私たちの心のなかでも、何度も反芻しています。

               

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