気仙沼たより
斉吉の和枝専務が毎月頑張って書いているエッセイです。 ばっぱが書いている内容に合わせたイラストも味わい深いです。 百貨店での販売や通信販売でお買い物いただくと大体付いてくるので読んでみてください。 気仙沼弁が多いので読みにくいこともあります。
気仙沼たより2025.04.02NEW
2025年4月|また新しい春
工場の中から けんかしているの? と思うくらいの声で言い合いが聞こえています。 ひろみさんの声はいつも このほうがいいとか どうしてこうなっているのとか、のやりとりで 内容までは聞こえないけれど、私は「うるさいよ」と言っ… 続きを読む 2025年4月|また新しい春
記事一覧
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2015.04.03
龍のいるところ
だいぶ暖かくなった日に車で移動中、なぜか龍角散の話になり他愛のない話が続いた。「古くからある薬だけど昔は龍の角が入っていだんだべが?」「龍って、架空の生き物だがら、何かの他の生き物の角を削ったんだべが?」「架空の生き物の… 続きを読む 龍のいるところ
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2015.03.02
先輩の話
うちの年寄りは威張っている。その先の年寄りもかつて威張っていたので、代々そうなのかとも思ういいたいことを言い、やりたいようにしている。そして 私は毎日、言いたい放題のこごとを言われている。 「あんだだら さっぱり何もしね… 続きを読む 先輩の話
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2015.02.09
世界三大漁場
生まれた時から見ている三陸の海が世界三大漁場のひとつだと知ったのは大人になってからです。大陸棚や寒流と暖流が出会う潮目によってもたらされる漁業資源の多さが大漁場を作ります 一つはノルゥェー沖 もう一つはカナダ、ニューファ… 続きを読む 世界三大漁場
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2015.01.05
ついたち弁当
斉吉の本店では、毎月ついたち(1日)だけのお弁当があります先月も、おかげさまで無事に暮らせましたというお礼の気持ちをのせて作ります震災の後 1年以上も 作れずお休みしてしまいましたが、復活できたことを 一番に喜んでいるの… 続きを読む ついたち弁当
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2014.12.05
時間が作り出すもの
400年続く「老舗」と伺うと、どれだけの人がバトンを繋ぎ、その人たちの努力が折り重なっているでしょうか、なんとも頭を下げたくなります。それぞれの時代の人々が言い表せないくらいのことを乗り越え、生きて繋げて、ここにいるとい… 続きを読む 時間が作り出すもの
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2014.11.04
大きな鍋
「ただいまー 今日のご飯 おかずなに?」 家に帰るなり漂う匂いにわくわくしながら(時にはちょっとがっかり)台所で煮えつつある鍋のふたを開けるときの気持ちはなんと言ったらいいか これは幸せなものだと思いますお腹が空いて家に… 続きを読む 大きな鍋
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2014.10.06
サダさんの箪笥
明治41年 サダは、仙台から気仙沼の斉吉の初代吉之進に嫁ぎました私が生まれた2年後に吉之進は他界し、その何年も前にサダは亡くなっていますから会ったことはないので祖父や父 叔母から聞いた話です。 サダの父は気仙沼の斉藤家か… 続きを読む サダさんの箪笥
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2014.08.27
「なめろう」はできたてで
初さんまの時期が来ますばっぱは 初さんまがくると、朝一番立派でなぷっくりしたさんまを大きな皿にのせて神棚に上げてから 家族に順番に拝むよういいますそのあと夕飯を食べる人数分に塩をします。塩焼きと同じくらい、真っ先に食べた… 続きを読む 「なめろう」はできたてで
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2014.08.06
住む家
大切なご自宅を快く貸してくださったN様のおかげで、なかなか住むところが見つからなくて困っていたときに、大きな安心をいただきました。二人合わせて150歳以上の両親が一階に住めたこと、また、大きな一軒家で、若い人たちが戻って… 続きを読む 住む家
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2014.07.04
鍋のきもち
工場(こうば)からは 甘辛い醤油が湯気になって立つ匂いがしています。金のさんまが炊ける匂いですガス台に 直径40cmほどの大きさの鍋を並べて 弱火でゆっくり炊きます家庭にあるものよりは大きいですが 炊く人が 一人で持てる… 続きを読む 鍋のきもち
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2014.06.06
父の日ですね
いつもみんなのことを思い、毎日のお仕事ありがとうございます。 母に比べて父の価値は5ポイントくらい下がるんじゃないかと、ぼそぼそと主人が言いました。いざというとき思い出すのは母だとか、父にとっては、ほんのり寂しい話もあり… 続きを読む 父の日ですね
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2014.05.07
蔦(ツタ)のこと
赤さびのうねトタンをびっしりと覆ったツタは、とても力がありました。何年も、人が住まなくなり閉まっていた木枠のガラス窓の隙間を少しずつツタは入りこんで、私たちが見たときには部屋の天井いっぱいに覆っていました。まるで お化け… 続きを読む 蔦(ツタ)のこと