2024.05.16
佐藤養悦本舗さんの作る稲庭中華麺
中華麺でありながら、まるで、和食を頂いた後のような後味。
写真は、佐藤養悦本舗さんに伺った時に、ご用意頂いたお昼です。
つるつると滑らかで上品な口当たりと香りは、他では味わった事が無く、感動致しました。
【日本で一番繊細な技術、稲庭干しうどん】
350年もの間、秋田県湯沢で稲庭うどんを受け継がれて来た佐藤養悦本舗さん。
稲庭うどんは、主食としてではなく、食事の一番最後に頂くうどんとして、稲庭城の御殿様に献上するものとして作られました。
日本で最も繊細な技術と佐藤さんは仰います。
今でも湯沢の方にとって、稲庭うどんは来客をもてなすもの、お土産など、ハレの日の特別な食として大切にされています。
佐藤陽悦本舗の、佐藤さんご夫婦です。
佐藤さんは稲庭うどんについて、「日本で一番繊細な技術」と話されています。
その理由の一つに、「手ない」の技術があります。
二本のかけ棒に麺生地をあやがけして細くしていく作業。
全身を使ってリズム良く手ないする姿を拝見し、
日本の誇る技術だと感じました。
【干す技術】
美しい景色を見せていただきました。
均一にのれんの様にかけられた麺は、天井からゆっくり風を当てられ、
まずは麺の外側だけがゆっくりと乾燥していきます。
その後、内側に含んだ水分を麺自身の力でゆっくり出して、
乾麺になっていきます。
生地の水分量や干し加減は、気温に大きく左右されるため、
麺と麺の間の間隔を調整して風の当たる位置をコントロールしたり、
手で触って様子を見ながら、時間をかけて丁寧に乾麺にしていきます。
完成までに4日を有す、大変に手間のかかるものです。
麺生地を「干す」ことによって生麺にはない独特のうまみと食感を作りだすことができます。
生の状態では未完成で、干すことで完成する麺、それが稲庭の麺です。
【稲庭中華麺】
歴史ある養悦本舗さんでは10年以上前から中華麺作りをスタートさせました。
350年という技術の歴史がある佐藤養悦本舗さんですが、それでも、毎日麺と向き合い続け、大変熱心に研究し続けています。
何故、中華麺を選んだのでしょうか。
先にも書いたように、「ハレの日の食」を長年作り続けていた養悦本舗さんだからこそ、の中華麺でした。
「生活に根差し、よりカジュアルに手に取って頂ける商品づくりにも挑戦したい」という想いから、長い年月をかけて完成させたものです。
丁寧な技術で作られ、そして、何よりも美味しい食を
もっと身近なものとして普段の生活の中で食べて欲しい、
という気持ちは、お話を伺った私自身も同じ気持ちになりました。
佐藤さんが繰り返しお話されていたことは、
「知恵を持って、その時のベストを尽くす」
ということ。
他の誰でもない自分自身の感性で、その時に最善だと思うやり方を選び続けることを大切にしたい
という信念を、お話しくださいました。
数種類の小麦の配合から始まり、生地の発酵・熟成
そして、何よりも稲庭干しうどんと同じく、高い技術を要する
「干す力」。
稲庭中華麺をつくるひとつひとつの工程に、
長年繋ぎ続けている稲庭うどんの技術が応用されています。
中華麺に使う水は蒙古王(もんごる)かんすい。香りを邪魔せず、
麺になった時にもスープが濁らないことが理由だそうです。
付属のスープには、石孫本店さん(取材記事はこちら)の、
熟成一番搾りのお醤油「百寿」が使われています。
スープにも科学調味料を使用していませんので、
是非、厳選された素材の旨みをお楽しみください。