2009.04.01
しらすよござりぁすか
ゆでたてのしらすは、醤油をほんのちょっとかけただけで美味しい 地元ならではの贅沢な春の味です。
ふれ売りのしらす屋さんは 漁師さんの奥さんであることが多く 朝 獲れたてのしらすをゆでて(いわゆる釜揚げ)市内に運んでくれます。奥さんのしらすをゆでる加減が味を左右します。そのゆでたて が我が家の少し遅い朝食に間に合うこともあります。
玄関先で大きな 風呂敷つつみを背中からおろすと おひつに くの字に曲がった、しらす(鮮度の良い証拠)と二合五セキ枡が入っています。
【ほんでふたっつお願いします】【はい】枡に山盛りにして、こちらで出した入れ物に二回あけます。【はいこれは おまげこ】さらにその上に少しのせてくれます。何グラムなどとはいわないのです。枡にお箸でふわふわと白いしらすを盛る手になんとなくあこがれました。小さいころ 【しらすよござりすか】といってしらす屋さんのまねをして遊んだものです。
しらすは河のある沿岸海域(汽水域)で獲れます。植物プランクトンを含んだ河の水が入り込んだ海水は塩分が薄くなり やがてたくさんの動物プランクトンが発生し、栄養豊富な海となります ここにしらすの群れがやってきます。
【よござりぁすか】 は 「(いかがですか) よろしゅうございますか」ということです。
このごろ敬語を使うシーンでは、標準語のことがほとんどです。 方言の敬語は聞く機会が少なくなりました。祖母の実家の大叔母は 普段から ※注 「ごめんなはれせ おあがんなはれせ おんなはりした おじょうぶでいさはるねす」と話し言葉の中に気仙沼弁の敬語がたくさん出てきます。耳に、心に やさしく 響く品のある気仙沼弁です。
注 ごめんなさいませ おあがりくださいませ おいでになりました お元気でいらっしやいますね。