2008.01.01
山があって気仙沼
明けましておめでとうございます。年神様に行く年の御礼をし、くる年も無事で精進できますようにお祈りすると、冷たい空気の中 心が澄んでくるように感じます。 新しい年も希望をもって、また改めて誓いを立てられる お正月は有難い節目です。
元日のご来光を拝むには「岩井崎」いわいさき か「安波山」あんばさん
岩井崎は太平洋の外洋を臨み 潮吹き岩と岩に砕ける波の向こう 水平線から昇ります。はじめに空を薄オレンジ色に染め、紺色灰色の雲は少しずつ薄紫色と混ざり刻一刻と変化する 海の色 空の色 一筋の真紅の光が見え始めると、そこから黒松林の間を真っ赤な太陽がぐんぐん昇り「いいぞ!日本一」と叫びたくなる程です。
安波山は気仙沼湾が一望できる山、湾の入り口をお守りくださるように大島があり 大島 亀山の裾野が唐桑半島の先と続いて見えるその先から朝日が昇り、湾を照らし始める偉大さに 圧倒される思いです。
北上山系から連なる山脈の東端が安波山で山脈は龍の背、安波山は龍の頭にたとえられています。
新幹線を一関駅で降り、気仙沼へ向かうと、何処までも山の中を走り、これで本当に日本有数の港町に着くのかと心配になるほどですが 山を抜けた途端に湾が開け大型鮪船がずらりと並び、魚市場の喧騒が現れます。
「山が海に迫っている」ことが 安波山からの眺めで良くわかります。平らなところがほとんど無く、山にへばりつくような町で 現在のわずかな平地ほとんどが埋め立て地です。この 山からすぐに海という地形こそが、様々な気仙沼の「ならでは」の基となるものです。 山に降った雨は長い時間をかけ、植物からのたくさんの栄養とともに しみだす様に海に注ぎます。さらに山は海の中に入り生き物にとってかけがえの無い住みかを提供します。気仙沼の海がこれほど豊かなのは、まさに海を守る山があってこそのもの、昔から漁師さんたちは、それを深く理解し、恵みに感謝する信仰を大切にしてきました。
そして暖流と寒流がこの海で交わるのです。どうです 奇跡と呼びたいほどの海です。