2010.02.01
気仙沼唐桑半島 真冬の牡蠣
深い入り江が、山の上からすぐ下に見えます。リアスの海です。
唐桑の鮪立(しびたち)は古く 江戸時代に カツオ漁が始まったところ、
その 鮪立で 自慢の牡蠣(かき)を育てる【盛屋】さん。
社長さんと知り合って3ヶ月目に 一代(いちよ)さんは 岩手県の久慈から お嫁に来ました。 初めてこの地へ来たとき思いました。
今右側に海が見えたのに・・・えっ? こっちも海 と方向が分からなくなるような深い入り江・・・そして海の美しい藍色が迫り ここは まるで別世界。
ご夫妻は 牡蠣のシーズンになると 毎朝2時に起き 3時から海に出て いかだから牡蠣を揚げ 出荷の準備を始めます。真冬 夜明け前の海の上は、口も凍り 動かせないほどの寒さです。
豊かな森の栄養を川が運びます。海に出た川の水は気仙沼湾の大島にぶつかり、撹拌され 海水と川の水が混じった汽水域(きすいいき)を作ります 。この汽水域こそ森の恵みをいただく海が、栄養を育む場所です。
ある程度育つと 岩のように何個も重なって付いている牡蠣を、ひとつひとつ手作業で外し、ロープに付け替えます。
牡蠣いかだは ゆりかごのような海の中にあります、さらに栄養をたっぷり吸い込むことができるように、 静かな流れのあるところ、「潮とおし」の良い場所へと、順繰りに 移動してやります。
ずっと下まで海をのぞくと まるで牡蠣がぷはーっと大きく海水を吸い込む音が聞こえそうです。
ご夫妻 おじいさん、おばあさん みんなで ひとつ ひとつの牡蠣に手間と愛情をかけて育てています。がっしりとした社長さんのとなりで ピンクのカッパを着た一代さんがきらきら光るリアスの海に負けない笑顔で、牡蠣の殻を開くとき、 どう!見て見て !という誇らしさに これよりおいしい牡蠣はないよね と吸い寄せられる思いがします。