2010.05.01
船頭さんとのあや良い話し
「あや」は一般的には 一旦あやがつくと・・・というようにクレームなどがつく意味となりますが 気仙沼には あや良い あや悪いと 両方あります。特にあや良いことが大事です。
ここでの「あや」は運や縁起のことです。
漁師は 【板子一枚下は地獄】といわれる 厳しい世界である反面【漁師の心意気】と言うように 海や魚に対して燃える心を 持った熱い仕事です。
改めてそのことを思わされる 話を聞きました。
唐桑の 第18一丸佐々木船頭さんは小学校から海に出ました 中学は隣の子に鞄と弁当を先に持って行ってもらい自分は 漁をしてから 学校に行くといった 生粋の漁師です。
『父親に中学のころから舵をもたせられ 漁の駆け引きをした。 海水の色 海水の温度に神経を集中させて挑むが、漁があった時の喜びや誇らしさは、とにかく何物にも代えがたい。魚は竿や餌をかければ釣れるというものではない、だから魚のありがたみを知らないとだめだ』とおっしゃいます。
船頭さんの携帯着信音は戸羽一郎です 気仙沼は大安の日11時になると 岸壁に大音量の演歌が響いていました 出船です 都はるみや北島三郎も 出船の景気付けの曲です。
にぎやかな出船は いざ出陣を励まし、 あや良いです
夫婦げんかするとあや悪いのです
「このごろ出船に音楽かげるごど少なぐなったがすぺ やがましぐねえば 気仙沼でねえでば」
自然と向き合う 厳しい仕事だからこそ 日々の努力の上に 研ぎ澄ましたカンでかつぐ縁起こそが、気仙沼のあやです。
大漁したときは「ねのよ」(龍神様に捧げる魚)を2尾 船の左舷から海に供え 次も良いあやをもらい 安全操業と大漁ができるよう祈願します。
あやの良し悪しや 先祖から伝わる 様々なしきたりの中に 目に見えないものを大事にする教えがあります。
そうして船頭さんと 「やがましい 出船おぐり大作戦」の話をして盛り上がりました。たいしたあや良いです。