2010.09.01
黙って俺の獲ったさんま食べでみろ
怪獣 の異名をとる 船頭が今年も さんま漁に出る。
出漁が迫り、戦闘モードに切り替わり 勢いを増している 。さらに漁が始まったらスイッチが入り 怪獣に変身する。
船頭は今年70歳 周囲のベテラン船頭からは「あんや」(お兄さんの意)と尊敬をこめて呼ばれている。
船頭は 最近 陸(おか)で車を運転中 後ろから追突され むち打ち となった 首や肩 腕にもたっぷりシップ を貼っている 痛そうで 首が傾いていた さんま紹介のパンフレットにのせる写真を一枚撮らせて とお願いしたら 俄然「ええいっ」と叫んで自分で自分をはだぎづけ まっすぐになった 。さらに、次の日 気に入りのシャツに着替えて登場し「昨日のはダメだ撮り直せ」と 頭にタオルで鉢巻きをした 。昨日とは別人のようだった
どの船頭もそうだが、沖に居る時は 陸に居る時と 全く別人で 厳しい
どのくらい厳しく どれほど恐ろしいか は 陸では話しに聞くだけだ 乗り組員は船頭を親分と呼んで 恐れ尊敬している
乗組員の命と 大きな船と 大漁をしたら 何百万(ときに数千万円)の魚を船頭の号令一つに預かって 大自然の中 大海の中 操業する。
船頭は 漁場への移動 水温や汐目を見極め、漁場を決める、 網を入れるタイミングを計る。
現在は、魚探 などの機器がそろっても、繊細で刻々と変化する海の中の様子を全身全霊で読み取る天才の技だ。そしてピンチの時も冷静に真っ向から挑む肝の据わった人物でなければ船頭にはなれない
大漁したときほど 船は重く まして海が荒れたときの操船は 「命(いのじ)ど交換だ」 という覚悟で船長とともに舵をとる。
怪獣船頭は 沖での事も 陸での事も 武勇伝の山だ。陸ではどれほど女にもててイイヨラレタカを豪語し けんかの数も半端なものではない そして、うなるような演歌がものすごくうまく 500m先まで聞こえそうな大声で話し 笑う。
「いいがら 黙って俺の獲ったさんま たべで見ろ」と叫ぶ
「俺はおめのばあさんにあったげおごられまわって世話になったんだ。俺が生きているうじは おだったごどしたら黙ってねえぞ」恩を忘れず筋をとおす義理と人情の船頭と、沢山のさんま漁に関わるみなさんに感謝。