2018.04.02
2018年4月|青葉ナライ
「青葉ナライ」
ナライは船を大海に押し出す風です。
山の尾根にそって吹くナライはその土地ごとに違いますが
気仙沼は北西の風細く入り込んだリアス海岸の入り江は南東に向かって太平洋に開きます
帆船の時代船は沖にだす風を待ち風をつかまえ湾口まで出ます。
若葉の頃強く吹く風を漁師は「青葉ナライ」と呼びました。
美しい呼び名ですが、繊細に風を読んでいたことが想像されます。
江戸時代、海岸は現在よりもっと奥まで入り込んでいたようです。
今の三日町も八日町も埋め立てられて町はつくられました。
北側と西側の丘陵により風を避け海から来る船を安心して係留させる深い入り江
その間を通る北西ナライの風を湾に集め、出しの風とする両方を考え埋め立てと埋め立てないを組み立てた見事な港湾計画だと言われています。
こうして気仙沼は海から産物も人も情報もやってきました。
陸路の高速道路の発展にはつながれず、長く陸の孤島と呼ばれておりましたが
ついに今日は気仙沼で初の自動車道のインターができました
開通式で85歳の父は木やりを唄うためにはっぴを着ました。
「背中が丸まっていたら襟の斉吉のカンバンが見えないよ」
と声をかけたらぐっと背筋を伸ばし白足袋にセッタをはいてそれは嬉しそうに出陣しました。
まもなく青葉ナライが吹いてきます。