2022.09.01
2022年9月|大きな岩 山の匂い 吹いてくる風
どこかへ出かけると、半ば吸い寄せられるように道の駅や産直市場へ寄ります。
できれば午前中です。
その土地でとれたもの、作られた品が入荷したばかりだからです。
この日も時間は午後でしたが、とおりすがりの遠野の近くの小友(おとも)道の駅へ寄りました。
テラスに出たシャチョーから、大きな手招きで呼ばれました。
「神社で何かやってるんでねえが?」
木々の間から白いたてがみのようなものが見えています。
もう手にとっている野菜だけを大急ぎで会計をして、
太鼓の音が終わってしまわないか
ドキドキしながら移動しました。
神社の境内では太鼓とともに白いたてがみを振ってお獅子様が舞っていました。
見ている人は、ほんの数人
軽い興奮の鼓動を抑えながら近づき、
物語の中にいるような光景に見入りました。
神社の直ぐ後ろに迫る、切り立った大きな岩 山の匂い、吹いている風、傍を流れる川の音
太鼓のリズムと白く長いたてがみを大きく振って舞うお獅子様が
響き合って呼吸しているようでした。
舞と太鼓は巖龍神社へ奉納する長野獅子踊りで、
400年以上も続く集落の伝統だそうです。
誰かが見ているからではなく、
粛々として
抗えない自然への畏怖なのでしょうか
これこそ本物の祈りなのではないかと心に響きました。
東北らしくて切ないほど真面目なありように
心が熱くなりました。