2023.12.01
2023年12月|なめたが嫌い
子供のころの12月で思い出すのは何?と大人になった兄弟に聞いてみた。
━━なめたかれいの煮つけが嫌いだった。(※なめたの煮つけは気仙沼の年越しで、大切な料理)
ばっぱは一年で一番奮発して、ご機嫌よく炊きあがった家族みんなのなめたかれいの煮つけを自慢げに、
俺たちに立派な大きいところを盛り付けて食べろと言う
ちょっとだけ箸をつけて雑にしていると
「なんと ばがなごど」(なんと ばかなこと)とまで言われたよな。
話はつづく
『野球もシーズンを終え、練習も休み。
ようやく家でごろごろしていると
じっちとばっぱが、「そんなに大ぎぐなったのに、何にもしねぇーで。
みんな忙しいんだがら工場でも店でも、行って手伝え!」
って言われ、工場は寒いからいやだし、
店の方がましかと思って行くと、
蛸売ったり、海老を売る係だったり、わかめを包装紙に包んだり、
クリスマスはクリスマスで、取引き先だからと何か所かのホテルのバイキングパーティー。
家族で行くけど忙しいせいで出発が遅いから後半にしか到着できず、
ローストビーフも何もかも少ししかない、毎年のがっかり
ようやく
大晦日が来てゆっくりな夕飯だと思うと なめただ
「ひれのところがうんまいんだがら、までぇに食べらいんよ」━━ (※までに=丁寧に)
なんだ、こんな話ばっかりだと思ったけど、
兄弟は楽しそうに話している。
キラキラしたことが思い出深いとは限らない。